休み明けの月曜日がつらいのは、なぜなのか。心療内科医の森下克也さんは「週末の過ごし方が何より重要だ。休みは金曜日の夜から始まっているため、“これからは別世界だ”と認識させる行動が必要だ。おすすめの切り替え方がある」という――。(第1回)
※本稿は、森下克也『「月曜の朝がつらい」がなくなる本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
20代後半になると「平日の疲れが取れない」
多くのビジネスパーソンは、週末の土曜日と日曜日が休日です。その休日を、実際にはみなさん、どのように過ごしているでしょうか。20代から40代のビジネスパーソンにアンケートを取ってみますと、多くの人がインターネットやテレビ、普段はできない家事やショッピングに時間を割いています。既婚者では家族と過ごすということも大切になってきます。
週末の限られた時間の過ごし方としてはおおむねそんなものだろうという結果で、さほど問題ないかのように見えます。しかし、平日に多忙を極めるビジネスパーソンの心の内は、そう平穏なものでもなさそうです。
まず、20代の後半くらいから、どうも平日の疲れが取れないという声がよく聞かれます。そのため、どうしても朝寝坊となり、起きた後も何か目的があるわけでなく、ただなんとなくダラダラ過ごしてしまいます。
何かをやろうにも月曜日からの仕事のことが気になって、どうもハメを外しきれません。なんとなく仕事のことを考えながらインターネットやテレビで時間をつぶし、「サザエさん」の始まるころには憂うつでたまらなくなります。
金夜は「別世界」の演出が必要
こういう週末の過ごし方の問題点は、休日を休日として過ごせていないということです。平日の疲れを引きずってダラダラ寝てしまう、漫然とインターネットをしている、夕方から憂うつになる、これらはあくまで仕事を軸とした休日の過ごし方で、週末が平日の延長となっている過ごし方です。
大切なことは、休日に「別世界」を導入することです。仕事とはまったく無関係の、それそのものが気分転換や娯楽としての意味を持つ何かを休日に持ってくるのです。
それは、かなり意識的にやらないとできません。その第一のポイントは、金曜日の夜です。本書でお話ししているように、金曜日の夜からが土曜日であるという意識を持って、これからお話しする週末改革に取り組んでみてください。
休日に「別世界」を導入するということは、1週間にリズムをつけるということです。5日間の仕事モードの後、2日間の週末モードになることで、次の仕事モードを新鮮な気持ちで、意欲を持って取り組むことができるようになります。このリズム感が重要なのです。
では、どのようにして週末モードの「別世界」を演出するか。
「習い事」で仕事を忘れる
かなり意識的にやらないといけないとお話ししましたが、イベントに参加したり旅行に行ったりなど、お金をかけて大がかりに行動を変えればいいというものではありません。「別世界」というのは、自分の心のありかを平日とは異にすることなので、それさえできれば些細なことでもかまいません。
そのためには、金曜日の夜に、平日はやらないことを、週末モードに入るスイッチとして意識するといいでしょう。
たとえば、習い事の予定を入れ、そこで仕事のことは頭から一切排除する、などです。どんなに仕事で疲れていても、習い事は、日常とは違った場所に身を置き、違った空気に触れることになるので、複雑な習い事でも案外頭は働くし身体も動きます。習い事は、「別腹」ならぬ「別頭」なのです。
習い事を金曜日の夜に入れるのは、それが週末モードに切り替える格好のスイッチだからです。習い事に集中することで仕事関係のいろいろなことを頭から消去し、「週末自由人」になるための第一歩を踏み出させてくれます。さらに、翌日が土曜日なので、明日の予定を気にすることなく習い事に集中することができます。
月曜日から木曜日は仕事で忙しいから習い事を入れないのはわかるとしても、土曜日と日曜日ではダメなのかと聞かれそうです。後ほどお話ししますが、土曜日は基本的に「だらだらする日」なので、予定は入れないようにします。
つづき
https://president.jp/articles/-/99808